不思議な出来事
朝から勢い良く布団のシーツを引きはがし、気持ちよく洗濯機を回して 、軽く歌なんて歌いながらベランダで洗濯物を干していたら 、目の前を小さなおばあさんが右から左へと通り過ぎた・・・・ような気がしました。
「気がした」のは何故かといいますと、 そのとき私の視界は目の前がシーツで大きく遮られていたのですが、 右からやってきたそのおばあさんは、いつまでたっても左から出てこなかったのです。
「あれ?」と思ってシーツの向こう側を確認してみても、人影は見当たりません。 だけれど、確かに私の目は、腰の曲がったおばあさんがゆっくり歩く姿を捉えていました。 思い返してみれば、それは一瞬の映像、ただの幻影だったような気もしますが、 紺色の上着や茶色のスカート、後ろで結わえられた白髪、穏やかな横顔など、 その姿は幻覚にしてはあまりにもリアリティがありすぎました。
あれが一体なんだったのか、結局私にはよくわからないままです。 もしかすると彼女は、もう既にこの世にはいない存在だったのかもしれません。 あの世にいながら、未だこの現実世界を時々散歩しているのかもしれません。 なーんて、想像はいくらでもできますが、確実な証拠もなければ説明もできないのが事実です。
ぜんぜん怖くはありませんでしたから、そんなこと、どうでもいいことなんですけれどね。
ただ、もしかしたら私は、これまでにも同じように、この世のものではない(かもしれない)存在を
、そうとは気づかないまま、たくさん目にしてきているのかもしれないな、と考えました。
世の中、目に見えるものだけが確かなものだ、とは言えないということ。
科学や理論で確実に証明できる物事だけが、全てではないということ。
きっと世界にはまだまだ、想像もつかないようなことが、たくさんあるのだと思うのです。
でも、やっぱりなんだかちょっと奇妙な気分です。
あのおばあさんは、毎日ああやってお散歩してるのかしら。
温かくなってきたことですし、昔暮らした懐かしい町を、気分良く歩いていたのでしょうか。
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